ハチネタブログ
昆虫界最強はカブトムシ?オオスズメバチ?
NHK NEWS WEB、山口 NEWS WEB
NHK NEWS WEB 2022年11月22日 15時10分
今回の研究・調査発表は、樹液場の取り合いにおいては昆虫の王様ともいわれるカブトムシを、オオスズメバチが制する傾向にあるということが確認されたという興味深い内容でした。
しかしながら、これはあくまでも樹液場での関係性であって、両者がお互いに敵対関係、つまり捕食対象ではないこともあらためて確認されたといえるのかもしれません。
では、オオスズメバチを捕食対象とする昆虫はいるのでしょうか?
スズメバチを捕食する昆虫といえば、有名なのはオニヤンマとカマキリです。
オニヤンマはトンボの種類のなかで10cm以上にもなる日本最大級のトンボで、時速80kmにも達する飛行速度と優れた機動力でスズメバチを捕食することが知られています。
作り物のオニヤンマを軒下に吊るして、スズメバチの巣作りの予防に利用されることもあり、スズメバチの天敵といえるでしょう。
とはいえ、オオスズメバチもスズメバチの種類のなかで別格の大きさ、機動力、パワーを備えているため、オオスズメバチにとっては天敵とは言い難いでしょう。
カマキリもスズメバチを捕食することで知られていますが、こちらは空中戦においては圧倒的にスズメバチに分があるために、逆にスズメバチに捕食される場合も珍しくはありません。
厳密には食すのはスズメバチの幼虫であり、スズメバチの成虫が獲物を捉えて肉団子にし、巣に持って帰り幼虫に与えます。
他のスズメバチに対しても捕食されてしまうこともあるカマキリですので、カマキリもまたオオスズメバチにとっては天敵とは言い難いでしょう。
したがって、昆虫界においてはオオスズメバチの脅威となる存在は今のところいないのかもしれません。
ハチに刺されたらポイズンリムーバー!
登山やキャンプは自然の中で行うので、何が起こるか分かりません。
ハチに限らず、ヘビやムカデなどに刺されたり、噛まれたりして毒を注入されてしまうことがあります。
そんな時に有効なのがポイズンリムーバーです。
ポイズンリムーバーは、蜂やアブ、蚊、毒虫などに刺された時、患部から毒液や毒針を吸引作用で抽出する器具で、医師の手当てを受けるまでの応急処置としてアウトドアの必携品です。
すぐに毒液や毒針を正しく排出すれば症状の悪化を防いでくれます。
慌てて口で吸うなどせず、正しく道具を使用して適切な応急処置をしてください。
ただし、刺されたら数分以内にはポイズンリムーバーで吸引しましょう。
時間が経ち過ぎてからの使用は、あまり効果に期待ができません。
私も蜂の巣駆除の際には必ず持ち歩いているもので、ハチ駆除屋にとっての必須アイテムといえます。
ハチ駆除に限らず、山歩きや畑仕事、散歩の際のもしもの時に備え、一つ持っていれば安心です。
また、自然環境が豊かな場所にお住まいの場合は、ご家庭にもお備えしておくことをおすすめします。
いくつかの製品が発売されていますが、どれも小型で軽く、誰にでも手軽に使用できるものです。
価格は1,000~3,000円のものがほとんどで、使用後に洗浄すれば繰り返し使うことができます。
ちなみに、私が普段持ち歩いているものはこれです↓
ドクターヘッセル インセクト ポイズンリムーバー 1,200円程度
《主な対象種》
ハチ・ブユ(ブヨ・ブト)・アブ・ムカデ・蛾(ドクガ類)・蛾(イラガ類)・蚊・ゲジ(ゲジゲジ)・蛇(ハブ・マムシ)など
※その他の製品や使い方については、こちらのサイトで詳しく解説されています。
過去に強いアレルギー反応がでたことがあるのなら、エピペンも常備しておくといいかもしれません。
私は実際に使用したことはまだありませんが、万が一の場合を想定して常備しています。
エピペンはアドレナリン自己注射薬で、根本的治療をするものではありませんが、医師の治療を受けるまでの間、アナフィラキシー症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤です。
アナフィラキシーショックによる意識喪失や窒息を回避し、救急車の到着までに死亡することを高確率で避けられるそうです。
アナフィラキシーショックはハチに限らず様々なもので起こるので、心配な方はエピペン処方医師に登録された医師のいる医療機関で診察を受け、処方してもらってください。
夏は毒を持つ生物の活動期!
夏本番ともなれば、海や山へ出かける人も多いと思います。
気を付けなければならないのは、この時期毒を持つ生物が活発に活動するということです。
そのなかでも、わりと遭遇する頻度が高い生物として、以下のようなものがあります。
スズメバチ
最も遭遇する可能性が高いのが、このスズメバチでしょう。
山に限らず住宅地においても、日常生活のなかで遭遇することがある種です。
毒を持つ大型の蜂として有名な昆虫ですが、攻撃的な性格なので、見つけたりした場合は静かに離れるようにしましょう。
スズメバチは、濃い色の物に警戒を示す習性があるため、山に入る時はできるだけ白っぽい服装にし、髪の毛などは帽子などで隠すことをおすすめします。
万が一刺された時は、すぐに下山して病院へ向かうようにします。
特に発疹が出たり、息苦しくなったりといった症状が出てきた場合、スズメバチの毒に対して急激なアレルギー反応が起きている可能性があります。
重篤な状態に至りかねませんので、できるだけ迅速に病院へ行きましょう。
マムシ
マムシは日が差すような場所ではなく、昼間でも薄暗いような藪や山道で遭遇します。
咬まれると患部に焼けるような痛みが起こり、著しく腫れ上がることが多いとされています。
南西諸島や沖縄県に生息するハブよりは、重篤な状態に至らないといわれますが、死亡する場合もある危険な生物です。
長靴や長袖を身につけるようにし、万が一咬まれた場合は、可能な限り安静を保ち、救急車を要請するほうが好ましいとされています。
携帯電話が繋がらない場所の場合や、救急車の要請が難しい場合は、患部の近くを包帯などで固定し、息が上がらないように気を付けながら病院へ急ぎましょう。
息が上がらないように移動するのは、毒が急速に全身に回らないようにするためです。
ゴンズイ
海でも注意しなければならない生物がたくさんいます。
よく目にする毒を持った生物といえばゴンズイでしょう。
堤防や港などで釣りをしているとよく掛かる魚で、ユーモラスな顔をしていますが、毒針を持っており、手で触れたりすると数日は激しい痛みが残ります。
釣れてしまった場合は、釣り糸ごと切って海に捨てるほうが無難でしょう。
誤って触って刺された場合には、激しい痛みが残りますので、棘を抜いて早めに病院を受診するようにしましょう。
アカエイ
尾の根本に毒がある針を持っており、刺されると激しく痛みます。
釣りをしている時に、たまたま釣り上げた際に触れて、刺されることがあります。
また、浅瀬に上がってくることも多く、砂と似た色をしているため、誤って踏んでしまい刺されることもあります。
アカエイに刺されると、血圧低下、呼吸困難などの症状が出て重篤な状態に至るケースが珍しくありません。
可能なら患部を圧迫して毒を洗い流し、できるだけ早く病院で医師の診察を受けるようにします。
カツオノエボシ
毒を持つクラゲの中でも、刺されると激しい痛みを起こすクラゲです。
とてもきれいな青い色をしていますが、海水浴などで見かけた場合は、絶対に触れてはいけません。
また、波打ち際に打ち上げられていることもありますので、誤って踏んだりしないように気をつけましょう。
刺された場合、患部にカツオノエボシの触手が残っている場合は、そっと引きはがし、清潔な海水で洗いましょう。
カツオノエボシに刺されると患部が腫れ、激しいかゆみが出ることがありますが、これはアレルギー反応の一種です。
小児が刺された場合や、大人でも刺された範囲が広い場合は、ショックを起こす場合がありますので、激しい痛みやかゆみ、呼吸が苦しくなるような症状が出た場合は、救急車を呼びましょう。
他にも、危険な生物はたくさんいます。
海や山へ出かける場合は、可能な限り肌を露出させた服装をせず、場合によっては、医師に相談して応急処置に使える医薬品を持参するくらいの備えも必要です。
ハチ刺傷による年齢別死亡者数
そのほとんどがスズメバチによるものですが、ミツバチやアシナガバチによるものも含まれています。
特に高齢者に多く、60歳以上が全体の約80%を占めています。
蜂に刺されないために注意すべきこと
トレッキングやキャンプ、BBQなどで山に遊びに行く方が増える時期は、蜂が活発に活動する時期でもあり、蜂に遭遇しないようにすることはとても難しいことです。
蜂との遭遇が避けられない以上、蜂に刺されないように気を付けるしかなく、そのためには蜂に敵と認識されないようにすることが重要です。
注意すべきことは色、匂い、そして動作です。
≪色≫
蜂は世界が白黒に見えていると言われ、白と黒の濃淡で物を認識し、日中であれば黒に近ければ近い色ほどはっきりと認識され、攻撃される危険性が上がってしまいます。(表-1)
黒に攻撃するのは、蜂の天敵である熊の色が黒に近いからとよく言われますが、黒いほうがよく見えるからと言ったほうがいいかと思います。
ですので、何色かというよりも色の明るさが重要になってくるのです。
我々のように蜂の駆除をする業者のほとんどが、白色の作業服を採用しているのはこのためです。
山に入る際は、黒色のものを身に付けるのを避け、出来るだけ明るい色の服装を心がけて下さい。
それから、日本人特有の黒髪も危険で、頭や顔がまず狙われてしまいます。
したがって、日差しを避けるだけでは無く、髪を隠すという意味でも帽子をかぶることをおすすめします。
白いタオルを頭に巻くのも効果的です。
ちなみに夜間は日中とは逆に、暗い服装のほうが暗闇に溶け、より安全になります。
※例外として、ミツバチは白黒以外に数種類の色を認識できるといわれています。(表-2)
≪匂い≫
蜂は色にだけでなく、匂いにも反応を示します。
香水やヘアスプレー、ペンキなどの、人工的な匂いや刺激の強い匂いを嫌いますので、風向きによっては巣から距離があっても攻撃対象にされてしまうおそれがあります。
逆に蜂が好む匂いは柑橘系の香りや甘い匂いで、この場合は匂いに誘われて蜂を近付けることになります。
野外に放置されたジュースの空き缶などにも寄ってきますので注意が必要です。
そして、虫除けスプレーは蜂には効果がないとされています。
≪動作≫
左右の速い動きや大きな音を非常に警戒する習性がありますので、蜂が目の前に現れた時に叫んだり、走ったり、手で払うとこちらが攻撃していると見なされて、余計に危険です。
慌てるのは禁物で、恐怖を押し殺してゆっくり蜂の視界から逃れるように後退して下さい。