ハチネタブログ
1度目でもアレルギー反応が出る!?
ハチ毒のなかでもスズメバチが持つ毒は、非常に多くの成分を含み、それらが複雑に結合した混合毒です。
したがって、ハチに刺された経験がなくても、それらの成分のうちどれか1つ、または複数に対する抗体を、すでに持っている場合があります。
そのような場合には、初めて刺されたとしても抗体が過剰に働き、アレルギー反応が出ることがあります。
実際に他のアレルギーをすでに持たれている方や、小児ぜん息の子供が、初めてハチに刺された際に、重度の症状を引き起こしたという報告もあります。
さらにオオスズメバチは、免疫のできない混合毒といわれるほど複雑で、非常に強力な毒を持っています。
日本ではオオスズメバチ、マムシ、熊が三大危険生物に挙げられ、そのうち最も凶暴なのがオオスズメバチとされています。
首から上を刺されたら助からないといわれており、首の血管を刺されて即死した例もあるそうです。
刺されるたびにアレルギー反応が強くなり、3度目ともなると致命的とまでいわれています。
しかし、刺される間隔が長ければ長いほど、反応は弱くなるともいわれています。
スズメバチの天敵
昆虫界で頂点に位置しているスズメバチですが、そのスズメバチにも天敵がいます。
日常的に個体が捕食される可能性があるのは、鳥やクモ、オニヤンマやカマキリなどです。
女王バチがまだ単独の時期は、アリも脅威になります。
巣(コロニー)にとってやっかいな存在になるのは、スズメバチネジレバネやカギバラバチ、オオハナノミといった寄生虫がいます。
寄生を受けた個体は、はたらきバチらしい仕事をしなくなるため、その個体数が多いとコロニー全体が不活発になり、巣も大きくならずに終わります。
女王バチが寄生されると、巣作りや産卵をしないため、コロニーは壊滅してしまいます。
さらに、ハチクマという猛禽類(タカの仲間)が、好んでスズメバチの巣を襲い、巣を破壊しながら幼虫を食べます。
ハチに刺されても平気という、スズメバチにとっては非常にやっかいな敵です。
最後に、忘れてはならないのが我々人間の存在です。
人間の場合は防衛の手段として巣を攻撃するのですが、スズメバチにとっては他と同じように、巣に脅威を与える存在のひとつなのでしょう。
綺麗なキボシアシナガバチの巣
キボシアシナガバチの巣は、地表から1m~2mの木の枝や葉の裏などに作られますが、見かける機会はあまり多くありません。
育房の蓋部分が黄色をしているのが一番の特徴で、あればよく目立ち、他種との見分けが簡単です。
巣はあまり大きくなりませんが、この種の攻撃性は他種と比べてやや強く、剪定作業中などに刺されることがあります。
スズメバチの初期巣 逆さとっくり
越冬から覚めたスズメバチの女王バチには、働きバチがまだいません。
コロニーの成長に不可欠な働きバチたちですが、女王バチがその最初の働きバチを誕生させるために作るのが、画像のように徳利(とっくり)を逆さにした形状の巣です。
今後の巣の繁栄にとって非常に重要な時期であると同時に、女王バチが自ら幼虫の食糧を調達してこなければならない時期でもあり、巣を空けることが多いために、外敵が侵入しにくい形になっています。
無事に数匹の働きバチが育ったら、大きな巣が作れる場所に引っ越すこともあります。
スズメバチの攻撃方法
スズメバチやアシナガバチの毒針には、ミツバチの毒針にあるような返しがないため、何度でも刺すことができます。
スズメバチはカチカチと大顎を鳴らして威嚇したのち、敵と判断すれば刺す行動に出ます。
今回は、スズメバチの攻撃方法を紹介したいと思います。
・飛びながら腹部を曲げ、その先端にある毒針を直接突き刺す。
刺さった瞬間に毒液を注入し、素早く離れて再び攻撃態勢をとる。
この場合には、針はそれほど深く入らず注入される毒の量も少量ですが、一瞬のことですのでかわすことは不可能といえます。
・脚でしがみつき、大顎でかみついて体を固定し、毒針を突き刺す。
何度も針を突き刺し、毒液を注入する。
しがみついて刺される場合は、毒針が深く入り同じ場所を何度も刺されることになるため、大きなダメージを負うことになります。
この場合には、ジーンズ生地でも容易に針が入ってしまいます。
ハチ用の防具を着て、刺されることを防げたとしても安心してはいけません。
針から毒液を噴射することもあり、目に入ってしまうと強烈な痛みでしばらく目が開けられず、最悪の場合は失明する危険もあるといわれています。
毒針と大顎(どちらもオオスズメバチ)
毒針は7mmほどで、服の上からでも簡単に貫通して刺すことができる。
大顎は一度かみついてしがみつくと、容易には外せないくらいの力がある。