ハチネタブログ
蜂の越冬
昆虫は体が小さく、外の気温が下がると体温も下がる変温動物です。
そこで、日本に生息する昆虫の多くは、卵や幼虫、さなぎなどで寒い冬を越します。
そのなかで、蜂は成虫で冬を越す珍しい昆虫です。
スズメバチやアシナガバチのなかまは、ほとんどが朽ち木の中で単独で越冬します。
秋、来シーズンのために誕生した新女王バチとオスバチたちは、巣から飛び立ち、野外で交尾を行います。
交尾を終えた新女王バチは、二度と巣に戻ってくることはなく、体内の栄養分を無駄に使うことを避けるために、そのまま越冬場所に移動します。
女王バチの寿命のおよそ半分にあたる6ヵ月にも及ぶ長期間の行為は、少しのエネルギーの無駄も許されないのです。
成虫で冬を越す昆虫のほとんどが、単独で木や土の中で冬眠するのに対し、冬眠せず体温を下げずに集団で冬を越す、非常に珍しい方法をとるのがミツバチです。
さすがに冬場には、女王バチは産卵をやめ、はたらきバチも子育ての仕事はありません。
大群で体をよせ合い体温が逃げるのを防いで、気温が0℃以下になっても巣の中心を20~30℃に保ちます。
ミツバチたちは巣の外側と中心とを入れ替わりながら温め合い、厳しい冬の寒さをしのぎます。
暖かいうちにたっぷりと蜜を蓄えているからこそ、ミツバチは成虫で、しかも体温を保ったまま冬を越せるのです。
ロイヤル・ゼリーとは?
ロイヤル・ゼリーは、ミツバチの若いはたらきバチが咽頭線から出す特別なミルクのことで、たんぱく質、でんぷん、脂肪、多種類のビタミン、その他の成分が含まれています。
ロイヤル・ゼリーには不思議な力があり、同じたまごから生まれた幼虫に、花粉と蜜を混ぜたものを与えるとはたらきバチになりますが、ロイヤル・ゼリーだけで育てられると女王バチに成長します。
女王バチはロイヤル・ゼリーにより、はたらきバチより早くそして大きく育ちます。
はたらきバチがわずか1カ月程で一生を終えるのに対し、女王バチは3年~5年程たまごを産み続けながら生きることができ、この強い生命力もロイヤル・ゼリーのおかげだといわれています。
ミツバチの天敵
ミツバチにとっての天敵は、オオスズメバチをはじめとするスズメバチのなかまです。
スズメバチは、ミツバチを捕まえ肉団子にして、自分たちの幼虫に食べさせます。
同じミツバチでも、セイヨウミツバチとニホンミツバチとでは、この天敵に対する対応が大きく異なります。
セイヨウミツバチは、明治時代に日本に入ってきましたが、もともといたヨーロッパやアフリカなどでは、大型のスズメバチがいません。
そのため、オオスズメバチなどに対する防衛の仕方が培われておらず、セイヨウミツバチたちは無謀にも単独で向かっていきます。
当然のことながら次々と捕食され、全滅してしまいます。
一方のニホンミツバチは、古くからオオスズメバチの脅威にさらされてきたために、自分よりもはるかに大きい敵に立ち向かうための、集団戦術を身につけました。
スズメバチがミツバチの巣を襲う時は、まず1~2匹が偵察にきます。
偵察のスズメバチを発見すると、ニホンミツバチはそのスズメバチを集団で包み、『蜂球』とよばれる球体を作ります。
そして、体をふるわせ熱を発し、中のスズメバチを熱殺するのです。
スズメバチは44~47℃で絶命するのに対し、ニホンミツバチは50℃近くまで生存が可能なため、自らがぎりぎり生存できる温度まで上げることになります。
しかし、偵察のオオスズメバチを取り逃がした場合には、その後に数十匹の本体部隊に襲われることになり、そうなるとやはり全滅してしまいます。
養蜂場のミツバチは、そのほとんどがセイヨウミツバチですので、スズメバチに対抗する手段を持たないため、人の手で守らなければ、維持することはできないのです。
スズメバチの巣は縁起物?
古くから商家や旅館などでは、スズメバチの営巣が終わった大きな巣を縁起物として大切に飾ったり、撤去せずにそのまま保存したりする風習があります。
スズメバチの巣には入り口が1つあり、そこからたくさんのハチが出入りすることから、商売繁盛・千客万来の願いが込められているのです。
スズメバチは、巣を1シーズンかけて大きくした後、冬には空っぽにしてそれを再び使用したり住みついたりすることはありませんので、営巣の終わった巣をそのままにしておいても危険や害はないものです。
最近はその風習自体を知らない方もたくさんおられますので、旅館を訪れたお客様が驚かれたり恐怖を感じたり、場合によっては苦情を言われることもあるそうです。
「本当はそのままにしておきたいけれど・・・」と撤去を依頼されることがよくあります。
個人のお住まいでも縁起物として扱われることがあります。
スズメバチは、天敵に狙われにくく災害の危険性が少ない場所を選んで巣を作りますので、安全な家屋であるとスズメバチに認められたという証でもあることから、お守りや魔よけとして大切にされることもあります。
しかし、最近はやはりお隣様などご近所様のことを考慮して撤去されるようになってきました。
スズメバチの巣そのものが大きく立派であることや、表面の模様が芸術的な美しさを持っているため、美術品的な飾り物として収集されている方はけっこうおられるようです。
営巣中のスズメバチの巣を発見した場合は、危険ですので速やかに駆除することをおすすめします。
アシナガバチの天敵
アシナガバチにとって一番恐ろしい敵は、実はアリです。
アリは巣内の卵や幼虫、さなぎを連れ去って食料にしてしまいます。
アシナガバチの巣は、背の低い木の枝などにぶら下がるように作られます。
巣へのアリの侵入を防ぐために、アシナガバチの女王バチは、巣の上部や枝とつながる部分におなかをこすりつけ、アリが嫌がる汁を塗ります。
それでも働きバチが生まれるまでは、女王バチが自ら餌や巣の材料を探しに出なければなりませんので、留守中に巣が襲われてしまうことも珍しくありません。
アシナガバチの巣を狙うものには他に、スズメバチのなかまのヒメスズメバチがいます。
ヒメスズメバチの幼虫は、アシナガバチの幼虫やさなぎを食べ物としています。
ヒメスズメバチはアシナガバチの巣を襲い、幼虫やさなぎを引き抜いて咬み付き、その体液を集めて自分たちの幼虫にあたえます。
スズメバチのなかまの中ではおとなしく、人間に対しての攻撃性は少ないヒメスズメバチですが、アシナガバチにとっては恐ろしい存在なのです。
アシナガバチの巣を襲うヒメスズメバチ | アシナガバチ50匹対ヒメスズメバチ1匹
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オオスズメバチVSキイロスズメバチ
8月下旬になると、スズメバチにとって新女王バチを育てる時期となり、大量の蛋白源が必要になってきます。
しかしこの時期は、夏場いたるところにいた他の昆虫たちが急激にその数を減らしていく時期でもあります。
この頃によく見られるのがスズメバチ同士の戦いで、特にスズメバチで最大・最強と言われるオオスズメバチは、次々と他のスズメバチの巣を襲撃し、幼虫やさなぎを食料として略奪していきます。
コガタスズメバチなどの個体数があまり多くない種の巣を襲撃する場合は、戦いは短時間で終わってしまいますが、巨大な巣・集団を作るキイロスズメバチとの戦いは、非常に壮絶なものになります。
スズメバチのなかでも攻撃性・凶暴性が非常に強い両者の戦いは、オオスズメバチ数十匹とキイロスズメバチ数百匹という圧倒的な数の差で開戦します。
しかし体の大きさがものをいい、キイロスズメバチはオオスズメバチに空中で捕らえられ、大顎で頭や腹を咬み切られて次々と倒されていきます。
襲撃を受けたキイロスズメバチの巣の周辺には両者の死骸が散らばり、そのほとんどがキイロスズメバチの死骸で、数百匹のキイロスズメバチが2~3日で全滅してしまいます。
その後、巣はオオスズメバチに占領され、中が空になるまで居座られます。
このように、昆虫界で頂点に位置しているとされるスズメバチのなかでも、オオスズメバチは別格の強さを誇っていることがわかります。
オオスズメバチの襲撃をうけたキイロスズメバチの巣
外皮が破壊され、オオスズメバチが占領している
チャイロスズメバチの乗っ取り
チャイロスズメバチの珍しい行動をご紹介します。
チャイロスズメバチは自身で巣を作ることができますが、手間をはぶくためにしばしば別のスズメバチの巣を乗っ取ります。
存在自体が珍しいハチですのでかなりマニアックな話になりますが・・・
チャイロスズメバチの女王バチは、モンスズメバチやキイロスズメバチ、コガタスズメバチの働きバチがまだ10匹足らずの若い巣に侵入し、女王バチを殺してその巣の女王になりすまし、巣ごと乗っ取ってしまいます。
チャイロスズメバチは特に強いハチというわけではありません。
別のハチの巣に少しずつ、時には数日かけて接近し侵入するのです。
警戒されてつつかれても、多少の攻撃にもじっと耐えながら近付いて行き、いつの間にかその巣のにおいを体に付け、とけ込んでしまうのです。
巣への侵入に成功したチャイロスズメバチは、隙をついてその巣の女王バチを殺します。
自らの女王が殺されたことに気付かない働きバチたちは、元の女王バチのにおいがたっぷり付いたチャイロスズメバチを自分たちの女王と思い込みしたがいます。
巣の中では元からいた種の働きバチと、新しく生まれたチャイロスズメバチの働きバチとの共同生活が始まるのですが、一か月半ほどでチャイロスズメバチだけになり、巣の乗っ取りが完全に完了します。
チャイロスズメバチ ※左端は女王バチ
刺すのは一度だけ?
ミツバチの毒針には返しがあるため、一度刺すと針を抜くことができず、毒の入った袋や内臓の一部ごとちぎれてしまいます。
刺したミツバチはしばらくすると死んでしまいますので、刺すのは一度だけです。
しかしやっかいなのはその後で、刺さった針には毒袋(毒のう)と、ちぎれた筋肉も残っているため、毒を体内に送り続けるといった特徴があるほか、刺す際に警戒フェロモンと呼ばれる物質を発することにより、これを感じ取った他の個体が次々と攻撃するしくみになっているのです。
アシナガバチのなかまやスズメバチのなかまの毒針には返しがないため、何度も刺すことができるので、獲物をとらえるのにも針や毒を使用します。
ハチの駆除に必要なものは?
ハチの駆除には何があればいいと思いますか?
度胸?装備?知識?
ハチの駆除の特徴は、シロアリやチャドクガなどの害虫駆除と異なり、命の危険がともなう戦いになることです。
スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチ、どの種類のハチでも駆除しようとする者を敵と判断し、特に巣に近付く者にはそれこそ命がけで、集団で攻撃してきます。
この点から考えると、ハチと戦える程度の度胸はないと始まりません。
しかし、度胸だけで戦いに挑めば命とりであり、無謀な行為となってしまいます。
必要な装備は、防護服など全身を護る物のほか、ハチの駆除や巣を取り除くための道具、場合によってはハチの巣に近付くための道具(はしご、足場板、電動工具など)も必要になってきます。
度胸と装備があればなんとかなる!
と、言いたいところですが、それだけではまだ充分ではありません。
駆除の上手いやり方を知らなければ、必要以上にハチを興奮させ、周囲も危険にさらしてしまいますし、ハチの生態を理解していなければ、駆除したつもりでもすぐまた巣が作られてしまいます。
また、建築の知識がなければ、建物を余計に傷付けてしまうこともあります。
度胸と装備と知識があればなんとかなる!
と、今度こそ言いたいところでしたが、実はもう1つあるんです。それは体力です!
ハチの駆除は夏場に行うことがほとんどで、暑いなかで防護服に身を包み作業をしますので、毎回シャツが絞れるくらい汗をかきます。
特に過酷なのは屋根裏での作業で、真夏には屋根裏の気温が40℃を軽く超えるため、熱中症になる危険と戦いながらの作業になります。
ハチの駆除は、ハチとの戦いより熱中症との戦いである!と言っても過言ではありません。
蜂の巣駆除 対応エリア 隣接する地域について
対応エリア外であっても隣接する地域におきましては、依頼状況によって対応可能な場合もございます。
ぜひ一度ご相談ください。
【隣接地域例】
福井県
・敦賀市 ・美浜町(三方郡) ・若狭町(三方上中郡) ・おおい町(大飯郡) ・高浜町(大飯郡) など
京都府
・亀岡市 ・笠置町(相楽郡) ・精華町(相楽郡) ・南山城村(相楽郡) ・木津川市 ・南丹市 ・福知山市 ・舞鶴市 など
三重県
・いなべ市 ・津市 ・名張市 など
奈良県
・奈良市 など